こんばんは。摂津市、吹田市、茨木市、高槻市を中心に建設業許可の申請代行をやっております行政書士いだ事務所の井田です。

建設業を営む以上、会社の発展のためには許可を取得し経営を行っていくことが重要なのは言うまでもございません。
その上で行政側から求められているのは健全な事業の運営です。

建設業法ではある一定の基準に該当してしまった場合には”許可の取消し”をする旨の定めがあります。

以下建設業法より引用

建設業法第29条
(許可の取消し)
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する時は、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

一、一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第7条第1号又は第2号、特定建設業者にあつては同条第1号又は第15条第2号に掲げる基準を満たさなくなつた場合
二、第8条第1号又は第7号から第13号まで(第17条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合
二の二 第9条第1項各号(第17条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当する場合において一般建設業の許可又は特定建設業の許可を受けないとき。
三 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合
四 第12条各号(第17条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合
五 不正の手段により第3条第1項の許可(同条第3項の許可の更新を含む。)を受けた場合
六 前条第1項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合又は同条第3項若しくは第5項の規定による営業の停止の処分に違反した場合

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

建設業法第29条の2
(営業所が確知できない場合の許可の取消し)
国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者の営業所の所在地を確知できないとき、又は建設業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいい、個人である場合においては、その支配人の所在を含むものとする。)を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該建設業者から申出がないときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。
2 前項の規定による処分については、行政手続法第3章の規定は、適用しない

例としては

法人の役員が傷害罪で逮捕、起訴され実刑を受けた

建設業法第29条第1項第2号により許可の取消

許可取得の際に申請した営業所が確認できない

建設業法第29条の2により公告を行ったが申出がない為に許可の取消

などがあります。
過去の取消し事例を見てみますと薬物や道交法違反、傷害などの犯罪行為によるものが結構あります。
又、上に挙げた“営業所の所在地を確知できない”ことによる取消しも多くを占めています。

大阪府に公表されている取消件数をみると今年の2月に取消の処分を受けた業者はなんと15件

取消しを受けてしまうと工事を請負うことができなくなり、従業員の雇用を継続する事ができない、関係者に多大な損害を与えてしまう等、事業の継続は難しくなる事は間違いありません。

そしてさらに厄介な問題が
その後5年間は新しく許可を取得する事ができない
という事です。

そして法人が取消し処分を受けた場合にはその法人の役員であった者等に営業の禁止処分が課されます
(建設業法第29条の4 営業の禁止)

直接犯罪を犯した役員がいた場合その役員は当然ですがそれ以外の役員等も5年間建設業を営業する事が禁じられてしまうので処分を受けた法人を解散し新たに別会社を設立して営業をしようと思ってもできないという事態になってしまうのです。

このように建設業許可などの許認可を与えられる者には大きな責任が課せられています。

たった一人の役員の過ちが会社全体の大きな損害に発展するケースも起こりうるという事を意識する必要があります。

予防の為には、しっかりと社内での情報共有を行いマネジメントしていく事が不可欠なのです。