こんにちは。摂津市、吹田市、茨木市、高槻市を中心に建設業許可の代行をやっております行政書士いだ事務所の井田です。

建設業者様の中にはご家族で営まれている個人事業主様または法人様が多くいらっしゃいます。

今日は労働保険についてのお話ですが、労働保険は
労災保険
雇用保険
の二つがございます。

いずれも原則、労働者を使用すれば強制適用となります。
(例外は個人経営の農林水産業で任意適用事業が定められているのみ)

そこで働く従業員(労働者)が「同居の親族」であった場合に保険が適用されるかについて、

労災保険については「適用労働者」となるかが問題となり、労働基準法に準じて「同居の親族」は労働者として扱わない事となっていますので、原則保険は適用となりません。

雇用保険については適用事業所に「雇用される労働者」が一定の適用除外に該当しなければ「雇用保険の被保険者」となるのですが、「雇用される労働者」として労働者性が認められない場合は「雇用保険の被保険者」となる事ができません。
この労働者性の判断の一つに「(事業主等と)同居の親族」があり、やはり「雇用保険の被保険者」として認められません。

しかし、一定の基準を満たしていれば適用となります。
以下は厚生労働省で発表されている資料から抜粋

労災保険

一般労働者(親族以外の労働者)を使用する事業のみ、次の条件を満たしていれば、労働者となります。

同居の親族は、事業主と居住、及び生計を一にするものであり、原則としては労働基準法上の「労働者」には該当しませんが、同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において、一般事務、又は現場作業等に従事し、かつ次の条件を満たすものについては、一般に私生活面での相互協力関係とは別に独立して労働関係が成立していると見て、労働基準法の「労働者」として取り扱います。

(1) 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。

(2) 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切及び支払の時期等について就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること。

雇用保険

事業主と同居している親族は原則として被保険者となりません。

ただし、次の条件を満たしていれば被保険者となりますが、公共職業安定所へ雇用の実態を確認できる書類等(「同居の親族」雇用実態証明書)の提出が必要となります。

(1) 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること

(2) 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切、及び支払の時期等について就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること

(3) 事業主と利益を一にする地位(役員等)にないこと

参考)厚生労働省:労働者の取扱い(例示)

とあります。
いずれも「就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること」の文言が入っていますので就業規則等を前もって準備しておくことが重要です。

尚、就業規則は10人以上労働者を使用する事業所では作成届出が義務づけられています。しかし10人以下の事業所の場合も上記のような場合等に対応する為に「その他これに準ずるもの」として作成しておくのが望ましいといえます。